.png)
- お知らせ
- 子どもも大人も意見を伝え合える学校にー教員向け実践ガイド「児童・生徒とともにつくる学校 POINT BOOK」を公開
子どもも大人も意見を伝え合える学校にー教員向け実践ガイド「児童・生徒とともにつくる学校 POINT BOOK」を公開

この度、みんなのルールメイキングでは「児童・生徒とともにつくる学校 POINT BOOK」を作成し、公開しましたのでお知らせいたします。こちらから無料でダウンロードが可能です。
2022年に生徒指導提要が改訂され、2023年にこども基本法が施行されるなど、近年「子どもの意見を尊重しよう」「児童生徒主体の学校づくりをしよう」という言葉を聞く機会が増え、学校運営に子どもの意見を取り入れることの重要性が再認識されるようになってきました。
学校現場でも、授業や特別活動など様々な活動を通じて、児童生徒が学校づくりに参画する機会がつくられてきました。同時に、教員をはじめとする学校関係者の中に、こうした流れに対して「これまでと異なる指導が必要なのだろうか」「具体的に教員はどうすればよいのだろうか」「どこまで児童生徒の意見を取り入れたらよいか分からない」といった不安や疑問を感じた方もいるのではないでしょうか。
本書は、「児童・生徒の意見を取り入れた実践をやってみたいが、何から取り組んだらよいのだろうか」といった現場の教員から実際に相談が寄せられた場面を取り上げ、大切にしておきたい観点を紹介しています。学校の状況によっても対応は異なるため、児童生徒が参画した学校づくりに正解はないと考えています。各学校の現状に照らし合わせながら、本書が少しでも参考となることを願っています。
本書の特徴
2019年からスタートしたみんなのルールメイキング。校則やルールなど学校の課題をテーマに、児童生徒・教員・保護者など様々な立場の関係者同士が「対話を通じた合意形成」を図る取り組みを、全国の学校へ届けています。単に学校の校則やルールなどを「変える」ことが目的ではなく、対話を重ねながら、みんなの納得解をつくっていくプロセスを大切にしています。
本書はその中でも特に、一人一人の児童・生徒の意見を尊重し、その意見を取り入れながら学校づくりをするために、児童・生徒の様々な意見をどのように集約し、合意形成するかに注目しています。そこで、カタリバやルールメイキングに取り組んだ現場の教員が、児童生徒が学校づくりにより参画していくことを目指して、実際に取り入れた工夫や手法と、その根拠となった考え方・観点を紹介しています。
児童生徒が主体的に学校づくりに参画していくなかで、「教員は意見をいってはけない」ということは決してありません。活動のなかでは、児童生徒が考えを深めていけるよう、その成長を支える教員や保護者、活動を応援する大人の存在が欠かせません。児童・生徒の意見を聞くと同時に、伴走者である大人自身も自分の意見を伝えながら対話し、協働して学校づくりに取り組む姿勢が大切だと考えています。
本書だけで読むこともできますし、すでにみんなのルールメイキングで公開している「ルールメイキング 教員ガイドブック」の副読本として読むこともできます。学校現場で実践を試行する教員の方にとって、ヒントになればと考えています。
本書の特徴
・どこから読もうか迷ったときは、まずここからお読みください
p4【POINT BOOKの使い方】
p7【伴走者が大切にしたいこと】
・実践を進めるためのサイクルと大切にしたい4つの観点
実践を進めるサイクルを大きく5つのステップに分け、伴走者である大人が大切にしたい観点を4つにまとめて示しています。また、自分たちの学校がこのステップの中でどこに位置しているかを確かめ、その状況に応じて、考え方や取り組みの参考にできるようにしています。全文を読む時間が無い場合でも、学校の状況に当てはまるカテゴリーの中から選び、読んでいただけるようになっています。
・教員をはじめとする実践者の声から考える
「取り扱いたい校則について生徒に意見をきいたところ、想像以上にたくさんの意見が集まりました。どこから整理をしていくとよいのでしょうか」
「対立する意見がでており、生徒の中でも合意形成ができない状況です。どちらの意見も尊重すべきだと思いますが、どのように決めたらよいでしょうか」 上記のように、実際に現場の教員から寄せられた相談を本書では取り上げています。実践のイメージができるよう、具体的な場面での工夫や手法、アイデアなどを紹介しています。


・校則見直しにとどまらず、学校の多様な場面に落とし込む
本書では、校則やルールの見直しだけにとどまらず、授業の進め方や席替え、学年ごとの行事や特別活動など、様々な学校現場で、児童生徒の意見が取り入れていくアイデアが紹介されています。。さらに、カタリバと東京都目黒区教育委員会が連携し、区内の中学校の統廃合に伴う新校設立に向けて、「生徒目標づくり」に取り組んだ実践など、学校全体を巻き込んだ実践も本書のベースとなっています。こうした学校生活の中での多様な場面に生かせるよう、それぞれの状況に応じたポイントも紹介しています。

本書の監修者からのコメント

国連子どもの権利条約(1989)は、 子どもに一番いいことを子どもに聴いて子どもと共に実施していく国同士の約束事です。 日本国内では、「生徒指導提要」(2022)やこども基本法(2023)にその理念が反映されています。 子どもの声を聴くことは、 教師にとって受動的な営みに感じられます。しかし、 子どもの声を聴き、 共に学校をつくることのできる教師は、子どもに合わせた支援ができる力量のある教師です。聴くことは、 教師が望んだ方向に子どもを誘導することではありません。 子どもの内から湧きでる言葉をじっと待ちます。 もどかしい時間です。 子どもたちの話し合いに耳を傾けながら、 選択肢を提示したり、 励ましたり、 一緒に悩んだりします。 子どもにわかりやすい資料づくりや安心して
話し合える環境づくりも必須です。知識も経験も豊富な教師が主導するのは簡単です。 けれど、教師が主導権を握ることは、「子どもは何も決められない」「教師に任せておけばよい」というメッセージを伝えてしまうことになります。 だから、 子どもに合わせた支援ができる教師は子どもを待ちます。 その意味で、 子どもとともに学校をつくる教師のしごとは、 子どもを信じることにほかなりません。なんだか難しいなと思われた先生方もいらっしゃるかもしれません。 ですが、 これらのことは、 現行学習指導要領の下、 授業ではすでに実践されてきたことでもあります。 主体的・対話的で深い学びを通して、 社会に出てからも学校で学んだことを生かしていける力を育むこと。 子どもが教師と共に学校のつくり手になる経験は、 社会をつくる大切な土台となり得ます。

2023 年に施行されたこども基本法では、 教育を含むこども施策の基本理念として、 すべての子どもが、 自身に関わることに意見を表明する機会が確保されること、 また子どもの意見が尊重され、 子どもの最善の利益を優先して考慮することが掲げられました。 学校も例外ではなく、 子どもが長い時間を過ごし、 成長していく場である学校のあり方を、 子どもの意見を聴きながら考え、 一緒につくっていくことが期待されています。 改訂版生徒指導提要でも、 子どもの権利の考え方を踏まえた生徒指導が重要とされ、 例えば校則も児童生徒の意見を聴きながら適切に見直しを進めていくことが望ましいとされています。とはいえ、「うちの生徒にできるだろうか…」と不安に感じる先生方も少なくないかもしれません。 最初は小さなことでも良いので、 子どもの力を信じて、 できることから取り組みを始めてみていただけたらと思います。 子どもにとっては自信をつけ、 成長していく大切な経験になると思いますし、 大人の側も、 ときにハッとするような子どもの新鮮な視点や豊かな考えに出会い、 気づかされることもあるでしょう。こうした取り組みはまだまだ発展途上でもあり、 進めていく中でいろいろな困難もあろうかと思います。 このレポートを、何かに行き詰まったときのヒントとして、 また立ち返るべき考え方の指針として、 参考にしていただければと思います。
本書は無料でダウンロードいただけます。ぜひお手に取ってお読みください。
新着記事
カタリバではルールメイキングに取り組む
学校・先生・自治体をサポートしています
すでにはじめている学校や自治体、個人の方のお問い合わせもございます。
まずはどのようなサポートが行われているかご覧いただき、お気軽にお問い合わせください。