自分たちのルールは、
自分たちで話し合い、
自分たちでつくる。
学校は、民主主義社会を支える、最も重要な土台となる場所です。「自分たちの社会は自分たちでつくる」が民主主義社会の原則であるならば、学校もまた、「自分たちの学校は自分たちでつくる」機会を、生徒・先生・保護者などの関係当事者に十分に保障する必要があります。
我が国の教育基本法は、「平和で民主的な国家及び社会の形成者」を育むことを教育の目的としています。それはすなわち、他者の自由を認めることのできる、自由で自立した市民の育成です。
この教育の「最上位目的」を達成するためにこそ、私たちはルールメイキングに取り組みます。
ルールは、一人ひとりの自由や多様性を守り、認め合うために存在するものです。立場や価値観などを異にする人たちが、互いを尊重し、対話を重ね、納得解をつくり合っていく。そんな力を身につけることは、生徒がこの社会を生きていく上でも、きわめて重要なことであると私たちは信じています。
だからこそ、校則・ルールのもとで学校生活を送る生徒自身の参画機会を保障しながら、生徒はもちろん、先生や保護者や地域の方など関係する人たちが、校則・ルールについてもとに対話し、見直し続けていくことを、私たちはここに宣言します。
校則・ルールの制定や
見直しを
進めるうえで
前提にしたい3つの原則
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1
一人ひとりの
尊厳を大切に個人の尊重
憲法が定める「個人の尊重」は、ルールメイキングにおける大原則です。一人ひとりの尊厳(権利)を尊重するためにこそ、私たちは校則・ルールの見直しを続けます。
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2
「そもそも何の
ための学校か」
を最上位に最上位目的との整合性
校則・ルールは、教育基本法が定める教育の最上位目的と論理的に整合性があるべきものです。手段としての校則・ルールが、その最上位目的の実現に向けて本当に有効・妥当なのか、なぜそう言えるのか、私たちは常に問い続けます。
-
3
学校は校則を公開し、
その制定・改廃への
生徒の参画を保障する公開原則と意見表明権の保障
学校は、公の性質を有することから、校則を公開するとともに、その制定・改廃に関して「児童の権利に関する条約」が定める生徒の「意見表明権」を保障する社会的責任を持ちます。関係者が校則・ルールについて十分に知り、また生徒が安心して自己の意見を表明できる機会を、私たちはつくり続けます。
校則・ルールの制定や
見直しを
進めるうえで
大切にしたい9カ条
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1
一人ひとりが
安心して居られ、
声に耳を傾け合える
環境づくり心理的安全性
まずは、誰もが安心して居られる、自由に声を発せられるーそのような環境や関係性をつくっていくことが大切です。一人ひとりの声が尊重される土壌があってこそ、人は安心して、感じたことや思ったことを言えます。
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2
疑問をもった
「私」からはじめる発議の権利
「何か変だな…」「ちょっと違和感があるな…」と、校則・ルールについて疑問をもった「私」から、ルールメイキングは始まります。生徒・先生・保護者問わず、関係する人であれば、誰もが声をあげる権利があります。まずは、身近にいる人に勇気をもって話してみましょう。
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3
「なぜ、この校則・
ルールが存在するのか」
を確認する制定の根拠・背景の確認
どんな校則・ルールにもそれが生まれてきた経緯があるものです。「なぜ、この校則・ルールが存在するのか」に目を向けてみることで、それらがつくられた背景や根拠を知ることができます。まずは、確かめてみましょう。
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4
固定観念に
とらわれない前提の再考
校則・ルールの見直しを進めていくと、さまざまな固定観念があったことに気づかされます。「中高生らしさ」「○○学校らしさ」などもその一つです。固定観念にとらわれず、前提を問い直し続けることが大切です。
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5
目的にかなう手段
(校則・ルール)を
論理的に提案する目的合理性
校則・ルールは、何らかの「目的」を実現するための「手段」です。その「目的」がそもそも妥当であるのか、また「目的」に照らして「手段」が妥当といえるのか、十分に吟味を重ね、提案をつくる必要があります。
-
6
論点を明確にして、
対話でみんなの
納得解をつくる対話的なルールづくり
先生の中にも、生徒の中にも、さまざまな意見があります。考えや価値観がぶつかる時には、対立する論点を明確に整理することが重要です。対話の中で、異なる意見の背景を深く理解し合い、よりよい納得解を見つけていきましょう。
-
7
関係者が取り組みを
見えるようにするプロセスの可視化
校則・ルールは、当事者抜きでつくることや、一部の人だけで勝手に決めることがあってはなりません。「今ここにいない人たち」のことも考えながら、取り組みの様子をどう発信していったらよいのかを考えていきましょう。
-
8
できた校則は
公開する情報の公開
できた校則は、学校外にも公開することが必要です。学校の校則を社会に開いていくことで、見直しに向けた対話の機会にもつながります。また、こうした情報公開は、これからその学校に通いたい人にとっても大切です。
-
9
一度つくった
校則・ルールを
見直し続ける継続性と改定手続きの制度化
よりよいルールは、その時々の当事者や関係者が、しっかり納得できるものである必要があります。一度つくればよいものではなく、常に見直し続けることが大切です。また、校則・ルール改定の手続きを明文化し、制度化していく必要があります。
対話的な校則見直しを応援する仲間
2021年度
みんなのルールメイキング委員会
メンバー
一覧
サポーター
安部 芳絵さん (工学院大学教育推進機構 准教授)/ 内田 良さん (名古屋大学教育学部 准教授)/ 勝野 正章さん (東京大学教育学部 教授)/ 讃井 康智さん (ライフイズテック株式会社 取締役 最高教育戦略責任者) / 神野 元基さん (合同会社 LINKALL 代表) / 末冨 芳さん (日本大学文理学部 教授)/ 瀬戸 昌宣さん (NPO 法人 SOMA 代表理事)/ 田中 麻衣さん (スウェーデン就学前学校 Guldklimpar 理事)/ 苫野 一徳さん(熊本大学教育学部 准教授) / 内藤 佐和子さん(徳島市長)/ 中島 さち子さん (株式会社 steAm 代表取締役社長)/ 平井 聡一郎さん (株式会社情報通信総合研究所 特別研究員)/ 真下 麻里子さん (弁護士/ NPO 法人ストップいじめ!ナビ理事)/ 安田 馨さん(安田女子中学高等学校 副校長)/ 若新 雄純さん (株式会社 NEWYOUTH 代表取締役)/ 今村 久美(認定 NPO 法人カタリバ 代表理事)
中高生メンバー
筑波大学附属坂戸高校 生徒会 / 熊本県立熊本農業高等学校 生徒会 / 安達 晴野さん(東京都立北園高等学校 3 年)/ 角谷 樹環さん(北海道中川郡幕別町立幕別中学校 3 年)/ 林 樟太朗さん(近江兄弟社中学校 2 年)/ 藤田 崇都さん(千葉県立成田国際高等学校 3 年)/ 藤田 星流さん(東京大学教育学部附属中等教育学校 6 年)/ まきさん(N 高等学校 3 年)/ 渡邉 すみれさん(平塚学園高等学校 3 年)
実証事業校
泉大津市立小津中学校 / 大垣市立東中学校 / 大阪夕陽丘学園高等学校 / 駒場学園高等学校 / 四條畷学園中学校 / 自由学園中等科・高等科 / 千葉県立姉崎高等学校 / 栃木県立足利清風高等学校 / ドルトン東京学園中等部・高等部 / ノートルダム女学院中学高等学校 / 山形県立遊佐高等学校
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