【先生編】困った時に!よりよいルールメイキングのためのヒント集 Vol.3

お知らせ

みなさん、こんにちは!インターンとして広報を担当している横瀬です。

「ルールメイキング活動をやってみたいけれど、そのステップが分からない…」「どうしたら先生と対等な対話ができるのだろう?」「もっと全校生徒に活動を知ってもらいたい!」

学校によっては、ルールメイキング活動が3年目に突入しているなかで、私が気がついたことがありました。それは、

活動する学校が共通して直面する悩みや課題がいくつかあるということ、その一方で、対応の方法や試行錯誤のようすは、学校ごとにさまざまで、沢山のアプローチの仕方が生まれているということです。

この連載では、活動する多くの生徒が直面してきた or している「お悩み」とそれに対して各校がどう対応してきたかを「\ヒント/」としてまとめています。また、より詳しい内容は、関連する記事やYouTube動画などのリンクから知ることができます。

【先生編】として今回特集したのは、次の5つです。

  • 活動のスタートダッシュを切る際のヒント
  • 校則見直しへの不安や懸念の声に対応する際のヒント
  • 伝統を重んじる風潮のなかで校則を見直す際のヒント
  • 全校生徒・保護者・地域を巻き込むヒント
  • そのほか

※【生徒・基礎編】【生徒・発展編】はこちら!

実用的なツールボックスとしてはもちろん、悩みを抱えているのは自分の学校だけではなく、ほかの学校も色々な形で頑張っているんだ!とモチベーションにもなればと思います。

活動のスタートダッシュを切る際のヒント

まずは具体的なイメージをつかみたい

こんな悩みありませんか?
「教員」として生徒主体のルールメイキング活動にどう関わることができるのだろう…まずは具体的なイメージをつかみたい。

\ ヒント /
これまでの実証校の先生方の動画やWebサイトをチェック!
みんなのルールメイキング公式YouTubeやWebサイトでは、これまで校則見直しに取り組んできた、実証校の先生方のお話を知ることができます。小規模校・大規模校や公立・私立等、さまざまな学校の事例が紹介されています。

▼ より詳しく!

実証校の先生方3名による発表(1:32:42~)

「校長」としてルールメイキングにどう関わる?

こんな悩みありませんか?
「校長」としてルールメイキング活動にどう関わることができるのだろう…生徒でも教員でもない「校長」という立場だからこそできる役割とは?

\ ヒント /
校長として活動に関わっている実証校の事例をチェック!
校則が厳しい伝統校として知られながらも、新しいルールづくりに取り組んでいる安田女子中高(広島県)。同校の校長・副校長先生を取材したインタビュー記事。

市内6校協働でルールメイキング活動を行う穂北中(宮崎)の校長先生が、「校長」のイニシアティブについて語ったインタビュー記事。

ルールメイキング活動はじめたいけど、手が回らない…

こんな悩みありませんか?
ルールメイキング活動をはじめたいけれど、いそがしくて余裕がない…
ルールメイキングの意義や重要性を理解し、実行してみたいと思うようになった。ただ現実的には…

ヒント /
まずは日常やっていることのなかで、ルールメイキングにつなげられないか探してみる
1. 授業内で校則に関連することを取り上げる
例)世界史の時間に、今ある学校教育がいつの時代にでき、厳しい指導がなされるようになったのか、歴史をひもとく。

2. 既存の学校行事と関連させる

生徒総会や全校集会で意見を集めたり現状報告を行ったりする。

▼ より詳しく!

姉崎高校(千葉) 生徒会担当の体験談(20:36~)

先生は何名必要?

こんな悩みありませんか?
ルールメイキング活動の立ち上げには、先生は何名くらい必要なのだろうか?

ヒント /
最低2名以上を確保し、生徒指導部とは密な連携を心がける
最低でも2名以上の複数の先生でチームをつくることが望ましいようです。さらに、各学年にバランスよく協力者の先生がいると全校を巻き込みやすくなります。
最終的な新ルールの提案や、生徒総会・行事の場を活用する際には、校長や生徒指導主任の協力が重要になりますので、定期的にプロセスを報告し、情報交換をすることをおすすめします。

校則見直しへの不安や懸念の声に対応する際のヒント

校則見直しに懸念の声が…

こんな悩みありませんか?
「校則を緩めることで学校の雰囲気が悪くなるのではないのか」という懸念の声が…

\ ヒント /
同様の校則を見直した学校にヒアリングする
豊津中学校(大阪府)は、体操服登校を導入する前に、すでに実践している小津中学校(同府)とオンライン交流会を行いました。導入にあたって懸念されていた衛生面などについて、意見を聞いたり、アドバイスをもらったりしたようです。

▼ より詳しく!

伝統を重んじる風潮のなかでどう校則を見直す?

こんな悩みありませんか?
「校則を重んじてきた学校の伝統や生徒像が崩れるのではないか」という心配の声が…創立から長い歳月が経っており、卒業生が築いてきた伝統を重んじる風潮。
ルールや校則ができた歴史的背景を大切にしながら「時代に合わないもの」を変えるにはどうしたら良いのだろう。

ヒント /
まずはルールメイキングの活動目的や重要性を伝え、理解を深めてもらう
例えば、安田女子中高では、先生向けのワークショップをカタリバとともに実施したことで、先生方の間で「時代にあわせて校則は変わっても良い」という認識を共有できたといいます。
卒業生や地域の方に対しても、同様のルールメイキング活動の意義を理解してもらう機会を用意することもできそうです。

▼ より詳しく!

生徒の安全を考えてできた校則たちをどう見直す?

こんな悩みありませんか?
保護者同伴での商業施設の利用など、生徒の安全を考えてできた校則たち。その背景を踏まえつつ、他の先生方にも見直しに協力的になってもらうにはどうしたらよいのだろう。

ヒント /
外部の力も借りて、校則を見直す際の懸念や不安を払拭できる、データや情報を集める
安田女子中高は以下のような取り組みを行いました。

1. 保護者へのアンケートを実施
「保護者同伴でないと認められていない場所の立ち入りが許可されると子どもの遊び方を心配しますか」といった質問に回答してもらい、保護者が校則見直しをどの程度懸念するかデータを収集しました。
2. 警察関係者へのインタビューを行い、安全に商業施設を利用するための心得を学ぶ
3. 弁護士からレクチャーをうける
新しいルールをつくる際に大切な視点などについて、お話をしてもらいました。

▼ より詳しく!

生徒主体のルールづくりに不安な先生も。どう賛同してもらう?

こんな悩みありませんか?
周りの先生方からも校則見直しの理解を得たい。
生徒主体でルールをつくるという新しい試みに不安を覚える先生方もいる。どうしたら活動に賛同してもらえるだろうか。

ヒント /
1. 生徒以上に先生の中で情報共有を行うことを心がける

足利清風高校(栃木県)は、職員室にルールメイキング委員会の掲示板を設置。重要なことがあった場合や、メディアに取り上げられた場合、活動の進展などについて掲示しています。また、校則に関して何か変わることがある場合には、直接伝えるなど、メリハリのあるコミュニケーションを行っています。

2.どこが懸念点なのか、先生同士で丁寧な話し合いを
活動に前向きではない先生にも、その意見の背景にはさまざまな理由があります。まず、有志の先生を集めて校則に関するワークショップを開いたり、外部人材を講師として招き研修を実施するなど、先生方が「何を不安に感じているのか」「校則についてどう考えているのか」について知る機会をつくるのもよいでしょう。

前提として、プロジェクトにおける調査・新ルールの検討のプロセスに参加してもらうことで、徐々に懸念が弱くなっていく傾向があります。そのため、プロジェクトの見学や対話機会への参加を積極的に促すことが重要です。

▼ より詳しく!

足利清風高校 生徒指導部長の体験談(7:29~)

全校生徒・保護者・地域を巻き込むヒント

保護者や地域の方々の意見も聞きたい!

こんな悩みありませんか?
ルールメイキングを、生徒と教員だけではなく保護者や地域の方々も巻き込んだ学校づくりの一環にしたい。
地域コミュニティの一部でもある学校。せっかくならルールメイキング活動を学外にも広げて、さまざまな人からの意見を聞きたい。

\ ヒント /
保護者や地域の方々、卒業生と対話する場を設ける

学外の関係する方々に、自分たちの活動を知らせるだけではなく、校則について一緒に話し合う機会を設けている学校もあります。


例えば、「学校にメイクをしてくることについてどう思いますか」や「生徒たちだけでカラオケボックスに行ってもいいと思いますか」と質問を投げかけています。これによって、ルールメイキング活動が学校内だけではなく、地域全体でともに考えるものとなっているようです。


また、「地域の学校」を目指す大垣東中学校(岐阜)は、生徒たちの改正方針に対して、保護者や地域の方からアドバイスをもらう「意見交換会」を開催しました。

▼ より詳しく!

同じ地域にあるほかの学校とも連携したい

こんな悩みありませんか?
自分の学校だけではなく、同じ地域にある学校とも一緒に活動したい。学校間で温度感や進度がバラバラにならないようにしながら、協働するためにはどのように進めたらよいのだろうか。

\ ヒント /
オンラインを活用&時間をかけて丁寧に!
例えば、市内6校協働でルールメイキング活動を行う穂北中学校(宮崎)は以下のような工夫を行っています。

1. 各校の生徒会同士がオンラインを中心としてコミュニケーションをとり、各校で足並みを揃える
2. 見直したい校則をいくつかにしぼり、時間をかけて丁寧に進める
3. 各学校の教職員・保護者の方・地域の方が1名ずつ入る「校則検討委員会」を設置。生徒たちはこの委員会に対して提案をしています。

▼ より詳しく!

そのほかのお悩み

校則見直しで良くない影響が…?

こんな悩みありませんか?
校則を改正したことで良くない影響も出てきた気がする…改正された当初は「良い方向にむかっている」と思っていたけれど、最近少し気になることがある。

\ ヒント /
関係するすべての人にとって良いルールなのか、常に問い続けアップデート
ルールメイキングの活動目的は、単に校則を変えたり、校則を緩める or 厳しくしたりするのではなく、学校をすべての人にとってより良い場所にするということ。改正されたルールでも、「誰かを傷つけている、置き去りにしている」と気がついたら、もう一度立ち止まって話し合いましょう

例えば、導入後も定期的に「リフレクション会議」という内省会を実施して、ブラッシュアップを続けている学校もあります。会議という場で不安や不満など発言してもらい、その場で整え続けることで持続可能な状態を目指しているようです。

深刻な違反が続くようであれば、生徒と先生とで対策を検討することも考えられます。先生だけで議論し、指導の方法を急に変えたり、以前の校則に戻すということはせず、改正に関わった生徒とも一緒に、何が問題だったのかを議論することが大切です。

▼ より詳しく!

ヒント集はいかがだったでしょうか?

充実したQ&A集にしていきたいと思っていますので、ぜひ【生徒・基礎編】【生徒・発展編】もチェックしてみてください!
生徒編では「先生と生徒が対等に対話するためのヒント」「楽しく活動するためのヒント・そのほか」等を取り上げています。

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