【中高生ルールメイカー100人の物語】ルールメイキングから学ぶ自分の創り方

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全国で校則をはじめとするルールメイキングに取り組む中高生が仲間と出会い、対話し、各界のトップランナーとともに生徒主体の学校づくりについて考える「ルールメイキング・サミット2023」が、2023年9月24日(日)に開催されました。

全国から105人の中高生が参加し、「だから私はルールメイキングをする」をテーマに2分間の自由発表「100人100物語ピッチ」を実施

中高生は、ルールメイキングで得た学びや成長はもちろん、今抱えている不安や悩みなどの葛藤、社会や周りの大人に対して思うことなど、力強い自分の言葉で伝えてくれました。

【中高生ルールメイカー100人の物語】では、そんな105人の物語に込められた思いを届けるため、サミットに参加した中高生105人の中から、7人が執筆した記事をご紹介していきます。

#1 高校2年生

M.Kさん

ルールメイキングから学ぶ自分の創り方

校則見直しに取り組む「ルールメイカー」の仲間たち

私が通っている高校では、現在約60名の「ルールメイカー」と呼ばれる生徒が中心となりルールメイキングプロジェクトを進めています。

この活動が始まった当初のワークショップはルールメイカーと先生のみでの活動でしたが、今では、地域の方を含めたワークショップや、全校生徒でのワークショップが実施できるようになるまで、学校全体にルールメイキングの文化が浸透しています。

私の通っている学校では、ルールメイキングプロジェクトを通して納得のいく「校則」の見直しが進んだ事例はまだ1つしかないのですが、ルールメイキングプロジェクトを通して、「校風」は大きく変わってきたように思っています。

今回はそんな中にいる私のルールメイキングストーリーについて少しお話しさせてください。

私がルールメイキングに携わろうと思ったきっかけ

私は高校に入学したての当初、自分の意見を発信することに対して消極的で、自分の考えは持っているけれど、自分の考えが間違っていたらどうしようという思いが強かったように感じています。今考えるとあまり自分に自信がなかったんだと思います。

それは、校則等のルールについて考えるときも同じで、自分の考えが否定されるかもしれないという不安感や、そもそも校則なんてどうせ変わらないだろうという思いもあり、誰に言われたわけではないのですが校則を見直すということは不可能だと決めつけていた部分がありました。

そのためか、校則の見直しを進めることなんて考えることすらなかったように思います。

ルールメイキングプロジェクトのワークショップの様子

ルールメイキングプロジェクトが始動されはじめて、ワークショップに参加した際、今までの考えが覆されるような衝撃を受けました。

というのも、今までは、校則に対して先生に意見すると先生と生徒という立場がある以上どうしても意見の対立は起こってしまうと考えていたため、先生に意見することに対して大きな不安感がありました。

ですが、この機会を逃したらいつまでも変わることができないかもしれない。そんな気がして思い切って発言してみることにしました。

すると、意外にも先生方が私の意見に賛同してくださり「たしかにこの校則いらんよね〜」や「僕もこの校則がある意味は正直分かってないんよね〜笑」と共感してくださいました。

否定されることを覚悟して発言したためこの場で共感を得ることできたことですごく安心することができました。

そして、全ての先生が校則に対して否定的なわけではないということも分かり、その後、ルールメイキングを進めていく上でのモチベーションともなりました。

今まで、話し合うことが大切であると言われ、何となくは理解できるものの、その本当の意味を分かっていませんでした。このルールメイキングのワークショップでは、その「対話」の大切さや面白さを体験できる時間になることを知りました。

このワークショップを機にルールメイキングっておもしろい!と思えたことによって私はルールメイキングに積極的に関わっていきたいと思うようになりました。

これまでの活動と失敗から学んだこと

ルールメイキングに関わっていく中でこれまでたくさんの活動を行ってきましたが、今回は、サマーツリー・ルルベンの設置について紹介させていただきます。

七夕の短冊のように、クリスマスツリーに自分の意見を書いた付箋を張り付けていく

これは、全校生徒の意見を集めるときのひとつの工夫で校則に対して抱いているもやっと感や、反対にこの校則は残しておくべきだという意見を付箋に書いて貼り出すことで、みんなの校則に対する思いを共有しやすくしたものになります。

これを設置したことにより、みんなが自由に校則の必要性に対して意見できるようになり、私たちもルールメイカー以外の生徒の校則に対する思いを知ることができました。

 昨年度、私たちはこのサマーツリーで集めた意見をもとに、見直したい校則案を3つ作成しました。街頭アンケートなどを通してその3つの軸から新しい校則案をつくり、校則検討委員会で先生方に提案させていただきました。

私たちはルールメイキングをする上で「対話」をするということを最も大切にしてきましたが、校則検討委員会の場では先生と生徒という立場で対立してしまい、昨年度は私たちから提案した3つの校則は改正することができませんでした。

昨年度の活動を見直したとき、私たちは生徒の意見ばかりに焦点を向けており、先生方をルールメイキングに巻き込みきれていなかったことに気がつきました。

そこで、今年度は、全校生徒に加えて先生にもアンケートをとることにしました。

しかし、昨年度と同様にアンケートにしてしまうと先生方の本音を探ることは難しいと考え、ルールメイカーが先生に1対1でインタビューをするという形式に変更し、その結果を集計して先生方の校則に対する必要性や許容性を目で見てわかるものにしました。

そうすることで、どこまでを許容するかやどの校則が必要であるか、また不必要であるかを先生の視点も交えて考えることができました。

ルールメイキングで得た学びと成長

このように、色々な壁にぶつかりながらも、私たちはルールメイキングの活動を楽しみながら続けてきました。その結果、対話のスキルは以前より上がったように感じています。これは、私以外の他の生徒も同じように感じていることだと思います。

ルールメイキングの取組を進める中で、自分の意見を認めてもらうことや、様々な世代の多様な意見を聞くことができることに喜びや楽しみを覚えていきました。

自分の対話のスキルが上がったことの実感や、課題をジブンゴト化することの経験、対話によるプロセスの大切さを知ることで、校則の見直しを進めることへの私の価値観を変えていったように思います。

校則の見直しを進める対話によるプロセスは、自分の考えを発信することができたり、自分の考えだけでなく、相手の考えを受け入れたりすることができるようになる、自分を変えてくれるものだと思っています。

私はルールメイキングから多くの学びを得て、成長につなげることができました。もう一つ、ルールメイキングが私に与えてくれたものがあります。

今まであまり人には話してこなかったのですが、私は、2年生に進級したと同時期に学校に通うモチベーションがなくなってしまい、学校に行きづらいと感じ、理由の分からない苦しい時期がありました。

色々と悩み、考え込み、マイナスなことが頭を巡っていたように思います。

ただ、そんな時期でも1年生の時から携わっていたルールメイングの活動にはすごくやりがいを感じていて、ルールメイキングの活動がある日には学校に行きたいと思うことができていました。

今は、毎日学校に通うことができるようになり、ルールメイキングは私が学校に通う意味のひとつであると思っています。このように、ルールメイキングは私を助けてくれ、私を変えてくれた大切な宝物です。

私は、ルールメイキングで学校が楽しく感じられるようになり、学校ってオモシロイって思えるようになってきました。また、自分の考えや思いを伝えることで「自分が創られている」ことが楽しいと思えるようにもなっています。

だからこそ、私はみんなにルールメイキングの対話の楽しさや面白さを伝えていきたい、この文化を残していきたいと思っています。

ルールの必要性や許容性は人によって違うため、一概に正しいと言えるものはありませんが、ルールメイキングのプロセスで得た学びは、私に「自分の創り方」を教えてくれました。

たくさんの人と関わることができるルールメイキングは自分にはなかった視点からの意見を聞くことができたり、これをやってみたら面白いかもと、想像力を豊かにすることができたり、たくさんの人の前で発言することができるようになったり、自分の視野を広げてくれたものです。

このことからルールメイキングは私に「自分の創り方」を教えてくれたものだとおもっています。

これからルールメイキングを始める人へ

私はルールメイキングプロジェクトの活動に携わることによって消極的な自分から積極的な自分に変わることができたり、少し違った視点から物事が見れるようになったり、様々なメディアに取り上げて頂くことによって外部の方からお褒めの言葉を頂く機会が増えたり、自分自身を成長させることができました。

ただ、ルールメイキングプロジェクトはゴールのないゴールを目指しているようなものだと私は認識しています。ルールがある以上そのルールは変わり続けるし、ルールにははっきりとした正解がないからです。

反対に、正解がないということはみなさんが、校則やルールに対してどんな考えを持っていても間違いではありません。

しかし、ルールに対して発言することに抵抗感を持ってしまうというのが今の社会における現状だと思います。

その概念を無くし、フラットに意見を発言できる雰囲気をつくることがルールメイキングをする本当の意味であると私は思います。

まずは勇気を出して自分が変わってみることで、周りは変わります!みなさん1人1人に周りを変える力が確実にあります。

これからルールメイキングプロジェクトでみなさんと一緒に誰もが居心地の良いと思える社会を築きあげていくことができることを楽しみにしています!

ルールメイキング・サミット2023「100人100物語ピッチ」を公開

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ルールメイキングで得た学びや成長、不安、葛藤、社会や周りの大人に対して思うことなど、今の思いを詰め込んだ中高生ルールメイカー105人による「100人100物語ピッチ」。

みんなのルールメイキング事務局では、中高生の言葉を残し、これからのルールメイキングへ活かしていきたいという思いから、有志の49人分のピッチ原稿をアーカイブしました。

全49人のピッチ原稿は、リンクからご覧いただくことができます

ぜひ、ご覧いただき、これをきっかけにルールメイキングに取り組む中高生を共に応援するメンバーとなっていただけたら幸いです。

生徒主体の校則見直しや学校づくりをはじめたい、既に実践している小・中・高校の先生が無料で参加できるコミュニティ「ルールメイキング・パートナー (参加無料)」では、毎月、教員交流会と題したオンライン勉強会・交流会に参加できる他、ルールメイキング事務局との無料相談や、生徒同士の交流会への招待等をご案内しています。

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