【第1回ルールメイキング生徒交流会】TeaRoomから学ぶ!伝統と新しい文化を両立させるルールメイキングの秘訣

こんにちは、ルールメイキング事務局です。

6月21日、全国の中高生を対象とした本年度の「第1回ルールメイキング生徒交流会」が開催されました。ゲストとして株式会社TeaRoom 代表取締役/裏千家茶道家 岩本涼さんをお招きし、学校の伝統を守りつつ、校則・ルールの見直しを通じて新しい自分達の文化を作っていくにはどうしたら良いか、参加者の皆で考えていきました。

■TeaRoom岩本さんが起業時に感じた「難しかったこと」

日本茶の需要が海外で増えている中、日本のお茶文化を次の世代に残したいという思いから21歳で起業した岩本さん。こちらの会社では、ルールメイキングに近い考え方で、いろいろなところに存在する「対立」を解消して、本当にいい形になるよう目指すということを行っています。

国内でもペットボトル飲料などで毎日お茶は飲まれていますが、お茶農家さんの平均年収は90万円。そのような状況を変えていくために、岩本さんの会社では、お茶を海外に紹介しています。

このストーリーについて「きれいに見えるかも知れないけど、とても難しかった」と岩本さん。農業は、教育と同様に国がトップにたち、その下に市区町村が連なるという階層になっていますが、起業時、地域やJAの人がどのような思いを抱いているか、きちんとヒアリングできなかったことが要因だと振り返ります。このときの出来事からルールメイキングに繋がっていきました。

■それぞれのモチベーションは何か。「対話することが大切」

例えば農業では、国、県、地域……それぞれ目標やモチベーションがあります。目標を明確化し、手助けすることは相手の喜びにつながります。その前提のうえで、まずは関係者を階層に分けて、それぞれのモチベーションを定義しました。

農業では、農家やTeaRoomを応援するモチベーションとして、農林水産省(国)は「国として日本の農業を強くしたい」、静岡県は「人口増を目指したい/税収を増やしたい」。そして、静岡市は静岡県の2つに加え「他にはない地域の魅力を発信したい」が加わります。

「この場合、我々のような若者が入ることで発信する人が増える=他の地域より静岡が素晴らしいと発信する人が増えます」(岩本さん)

しかし、JAや地元の組合、村などのモチベーションは、それまでの階層とは異なります。特に村の平均年齢は高齢層が中心のため、「変な人が来て欲しくない。村を荒らされたくない。村の政治などに首を突っ込まないで欲しい」といった、これまでの生活を変えないことが重要になってくるのです。

そのため、岩本さんの活動では国、県、市といった階層までは応援してもらえたのですが、工場を作った地元の人たちには応援されていなかったということに気づきました。そこから、地元の人たちが喜ぶことを地道に積み重ねていき、良い状況を生み出しました。

これは学校の中でも同じこと。岩本さんは学校の中で変えたいものが何なのかとあわせて、誰が関わっているのかを考えること。そして関わっている方々の目的や目標、モチベーションが何か、ちゃんと対話することが大切だと話します。

「既存のものを変えて欲しくない方もたくさんいらっしゃると思います。その方々が何をモチベーションとして生きているのかを、しっかり聞いてみることが、ルールを変えることにも繋がるのではないでしょうか」(岩本さん)

■交流のきっかけのヒントに。岩本さんへの質疑応答

岩本さんのお話を受け、参加された生徒や教員の方から岩本さんに対しての質疑応答が行われました。

Q. 目的やモチベーションを知るための話かけ方や聞き方に、何かコツはありますか?(生徒)

「お茶会がおすすめです。いきなり『モチベーションは何ですか』と聞かれると先生も怖いと思います。お茶をしましょう、いいお茶見つけましたというくらいの温度感で話しかけて、雑談しながら希望をきいてみると意外と素直な意見を言ってもらえたりします」(岩本さん)

Q. 担当者として困っていることが、僕のようにいろいろ考えてやっていこうと思う人とそうでない人がいることです。関係者をどのように巻き込んでいくか、教えてください。(教員)

「きっかけとして、話したい論点からずれたところで共通項を作ることがおすすめです。例えば犬の話からスタートして、相手が敵じゃないと言うことがわかった状態から本題をスタートさせると良いと思います。また、JAさんや学校の関係者の方も、だいたい3年で変わっていきます。新任の先生たちを一人ずつ自分たちの仕組みに組み込んでいくことをすると3年たてば学校が変わっていくはずです。長期の計画を立てながらやってみるのがいいのかなと思いました」(岩本さん)

■テーマは5つ。トピックトーク交流会

続いて、ブレイクアウトルームを利用し、5つのテーマに分かれてトピックトーク交流会が行われました。参加者は5つのテーマから、入りたい部屋を選んで参加する形式です。

岩本さんが参加するトピック①「伝統を守りつつ、新しいものを取り入れる秘訣は?」にも、多くの参加者が集いました。

参加者の一人は、これまでルールメイキングプロジェクトに4年取り組んで来たという阿部さん。その活動をみて興味を持った生徒からは「中学に入ってから校則を変えるという概念はなかったけど、阿部先輩の活動を見て果敢に挑戦している姿がかっこいいと思った」と話します。その声を受けて阿部さんは自分たちの活動を振り返り「巻き込んでいくのは大事だなと思う」と振り返っていました。

参加した先生は、直前の岩本さんのプレゼンや質疑応答から「新しいルールを作りたくても、選択肢がなかったりすることが多い。教員も生徒も外の世界や新しい方向性を学んだ上で、新しいルールを子どもたちと作り上げていきたい」と話すと、岩本さんから「学校の方針を考える機会に生徒代表枠を設けるのはどうか。必ず生徒の意見が上がるような仕組みになるといいのでは」という提案もなされました。

■あっという間の1時間。生徒も先生も学びの時間に

あっという間の1時間。最後に参加した生徒からは「他の学校の人たちと話す機会がないので、充実した時間になった。考え方が広がったのでためになりました」「対等がキーワードだと感じた。岩本さんの話のように、押しつけるのでなく共通項を見いだしていくことが出来ればと思います」などの感想が述べられました。

また阿部さんからは「4年間生徒会で校則改定に取り組んで来ました。反発されることも多かったですが、ルールメイキングを通して人生が変わったと感じているので、今辛い人も頑張って欲しい」と参加者にエールを送っていました。

今回、希望した学校にはTeaRoomから茶葉を提供していただきました。美味しいお茶を味わいつつ、充実した対話の時間をもつことができたのではないでしょうか。

この記事をシェアする

新着記事

カタリバではルールメイキングに取り組む
学校・先生・自治体をサポートしています

すでにはじめている学校や自治体、個人の方のお問い合わせもございます。
まずはどのようなサポートが行われているかご覧いただき、お気軽にお問い合わせください。