第9回教員交流会 -ルールメイキングに取り組む学校の先生に訊く! ルールメイキングの実態と生徒・先生・学校の変化について-

こんにちは、ルールメイキング事務局です。

対話的な校則見直し、生徒主体の学校づくりに取り組んでいる先生方のコミュニティ「ルールメイキング・パートナー」では、月に1回程度、定期的に教員交流会を開催しています。
5月30日に開催された「第9回教員交流会 -ルールメイキングに取り組む学校の先生に訊く! ルールメイキングの実態と生徒・先生・学校の変化について-」では、愛媛県立丹原高等学校の谷口先生より、ルールメイキング活動と今後の目標などについてご紹介いただきました。

谷口先生によるルールメイキング活動の紹介

小規模で自然に囲まれた環境にある愛媛県立丹原高等学校。学力的には中間層から下位層の生徒たちが入ってくるため、リーダーシップを持った生徒は少ないと言います。そのため、学生の中の“やってみたい”という気持ちを実現するために「tanomoプロジェクト」を実施しています。

この「tanomoプロジェクト」では、次の4つのコンセプトを軸にさまざまなプロジェクトがあり、ルールメイキングもそのなかの一つとして2022年5月から取り組みが始まりました。

・自分の“やってみたい”を見つけ、声に出すこと
・誰かの“やってみたい”を応援すること
・ヒト、モノ、コト(地域資源)との出会いを大切にし、生かすこと
・課題への挑戦を楽しみ、ジブンゴト化すること

スケジュールとしては、6月にキックオフミーティングを実施し、各月にワークショップや交流会、街頭アンケートなどを開催。それらを踏まえ、2023年1月に校則検討委員会を実施し、生徒から先生方への衣服の規定についての提案を行いました。対話による納得解を得る過程を経験することができたと言います。今年度では、全校生徒を巻き込むことをひとつの目標としてスタートしています。

このプロジェクトを通し、生徒だけでなく、谷口先生自身も新しい出会いや考え方、視点が増えていったと感じたそうです。

「校則を見直すための対話的なプロセスが、課題解決に必要な力に繋がっていると、感じとれるようになってきました」(谷口先生)

今回の報告では、プロジェクトでの失敗とそれをどう乗り越えていったのかをお話しいただきました。

谷口先生が経験した「ヒト/モノ/コト」の失敗とその対策

<ヒトの失敗:伝え忘れ>

情報が先生方に伝わっておらず、ワークショップやミーティングを行う際に「聞いてないぞ」と言われることも。それに対して谷口先生が行った対策は、「ひたすら謝る」。これは意見が違ったときこそ対話のチャンスと捉え、お互いの納得解が得られるように話をすることを心がけたとのこと。

「納得解を得られたのは、日頃からの人間関係の構築が大きく影響していると思います。自分は普段から何でも顔を出してお手伝いしたり、困っている人を探すことを心がけています」(谷口先生)

<モノづくりの失敗:終わらない>

当初、先生たちも生徒もルールメイキングをよくわかっていない中で、谷口先生がひとりで準備を行うことがありました。その結果、準備をしていたら、気づけば朝……ということも。始めからみんなで取り組める仕組み作りの重要性を感じたそうです。

また、生徒が自主的に取り組む必要があるため、生徒からモノづくりが得意な人に依頼するという仕組みを作ったと言います。例えば、サマーツリーというモノを作ったときは、生徒から美術の先生にお願いをしました。

「生徒からのお願いには応えたいという先生が多いと思います。またモノづくりを通して、ルールメイキングプロジェクトに『参加した』感覚にも繋がり、先生方の中でのジブンゴト化にも繋がったと考えています」(谷口先生)

このサマーツリーは、結果的に丹原高校のルールメイキングプロジェクトにおけるシンボル的存在となりました。

<コトの失敗:全校生徒、全教職員が参加できなかった>

全校生徒、全教職員が参加できる機会を作ることができなかったことが、昨年の取り組みにおける失敗と振り返ります。しかし、今年は全校生徒が参加できるワークショップを実施。さらに6月には全校生徒に加え、先生方も参加するワークショップを予定しています。

失敗を乗り越え、全校生徒が参加するワークショップを実現できた理由として「スモールステップ」をあげています。

「昨年度は土日にワークショップを実施し、先生方にはお一人ずつ地道な声がけを行ってきました。人との関わり、モノづくりによるジブンゴト化などを通して、徐々にルールメイキングプロジェクトを認めてもらえるようになりました」(谷口先生)

時間はかかりますが、ひとつひとつの対話を重ねたことが成果に繋がったと振り返ります。そして、もう一つの対策として行ったのが「メディアの活用」でした。意識してメディアやSNSに取り上げてもらうよう働きかけて外部に取り上げてもらうことで、外部の方や保護者から褒めてもらえる機会に繋がったそうです。

「メディアを通して、ルールメイキングプロジェクトのジブンゴト化が進んでいきました」(谷口先生)

最後に谷口先生は「私自身、面白いと感じながら1年間取り組んできました。今年も生徒と一緒にどんな面白いことをしようかなと思いながら活動しております」と締めくくりました。

谷口先生の取り組みに対する質疑応答

続いて、事前に寄せられた質問をもとにした谷口先生に対する質疑応答が行われました。

Q. コアメンバーの必要性について。去年から活動されてきてメンバー編成の変化はありましたか。
「何か物事を進めるにあたって、コアメンバーがいないと進めにくいと思っています。本校のルールメイキングプロジェクトのコアメンバーとして『ルールメイカー』という呼び名をつけています。今年度募集したところ、70名のルールメイカーが集まりました。」(谷口先生)

この70名がすべてコアメンバーなのかという点については、先生も「クエスチョンマークがでている」と話します。それでも自分が参加できるときに参加するという仕組みをとっているとのことで、議事録などで情報共有を行っているとのこと。

「結果的に毎回参加できる人がコアメンバーになっていくと思います」(谷口先生)

参加者からは「毎回参加しなければならないとなると、1度の欠席がプレッシャーに繋がることも。好きなときに参加できるという安心感が皆さんの意欲やモチベーションに繋がっていると感じました」と声があがりました。

Q. ルールメイカー募集に70人集まったのはすごいと思います。そこまでルールメイキングプロジェクトに関心が集まった秘訣は何でしょうか。
「なぜルールメイキングプロジェクトにそこまで集まったかわかりませんが、コアメンバーが楽しそうにやっていることが伝わっているからではないでしょうか」(谷口先生)

Q. 全校生徒が参加したワークショップについて教えてください。
全校生徒が参加するワークショップはホームルームの時間を活用して行われました。

「今年度、最初に取り組むルールミーティングに関するワークショップだったので、ルールに関してジブンゴト化しやすいように、自分のやってる部活のルールについて考えてもらう時間を設けました。そのルールがなぜ必要なのか考えてもらいました。」(谷口先生)

ワークショップの中身については、生徒と一緒につくり上げたそうです。「ルールとは何かをもう1回考えたい」という先生の思いに対して、生徒たちから部活動をテーマにするというアイデアが出てきたそうです。

Q. ルールメイキングプロジェクト初期段階は、どのような働きかけをされましたか。
「例えば、生徒指導部や生徒課の先生にはルールメイキングプロジェクトを進めることで、先生が得られるメリットを説明しました。ほかには管理職の先生には教育的な効果や学校の魅力アップなど、ニュートラルな立場で先生方にお声がけして、それぞれのメリットになることを一緒にやりませんかとお話ししました」(谷口先生)

Q. ルールメイキングプロジェクトを聞いて入学された生徒さんもいると聞きました。活動の反響があったと思いますか?
「入学の面接でルールメイキングプロジェクトをやりたいという生徒が結構いました」(谷口先生)

Q. 生徒のモチベーションを維持して能動的に活動するための工夫は何かされていますか。
「参加したときに面白いと思ってもらえるポイントをつくっています。例えばワークショップ中に音楽を流したり、家庭クラブのハンドメイキングという活動と一緒に『ルールメイキングカフェ』を実施してみたりしています。また楽しい経験が、対話が楽しい、話し合いが楽しいという経験にも繋がっていくと思います」(谷口先生)

モチベーション維持については、「メディアを通じて、外から褒めてもらうこと」をあげました。

「また、ルールメイキングプロジェクトだけでなく、ほかのプロジェクトも通じて全校生徒が参加できる仕組みがあります。自分がやってみたいことができる仕組みがモチベーションに繋がっているのだと思います」(谷口先生)

また、その場に参加されている先生方からの質疑応答も行われました。

「地域を巻き込んだルールメイキングをしていきたい」

丹原高校のある西条市の5校は、校則の足並みを揃えるという文化があるそうです。それを踏まえ、谷口先生は今後の目標について「この5校を巻きこんだルールメイキングをしていきたい」と語ります。また8月には中学生を巻き込んだルールメイキングのワークショップも実施予定とのこと。

「地域にルールメイキングの文化というものを作っていけたらなと思ってます」(谷口先生)

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