制服選択の新しい選択肢もご紹介!校則・ルール見直しの最新動向(2021年9月-10月)

レポート

全国各地での校則・ルールの見直しを行うルールメイキング活動の動向を、最近ホットな話題を中心にお届けします。今後も1ヶ月に1度の頻度で更新していきます。

校則や対話の「ガイドライン」をつくる取り組み

日本若者協議会の「校則見直しガイドライン」作成に向けた取り組み

全国的に広がりを見せている校則見直しのムーブメントを後押しする取り組みをご紹介します。
若者の声を広く集め政策提言を行っている日本若者協議会が、校則見直し検討委員会を立ち上げ、校則見直しのガイドライン作成を行いました。これまでに5回の公開シンポジウムを実施し、学校が校則見直しを進める上で基準となるガイドラインを10月に公表しました。
日本若者協議会「校則見直しガイドライン」はこちらからご覧になれます。
*これまでの検討のようすはこちらから。

カタリバからはルールメイキング事務局の山本晃史が本検討委員会に参加し、校則見直しにおける対話の重要性や外部の声を取り入れる必要性について提言をしてきました。
本ガイドラインも、全国的に広がる校則見直しのムーブメントに新たな流れをつくる実践になることでしょう。今後の展開に注目です。

海外にはどんな「ガイドライン」があるの?

この校則見直しガイドラインの完成イメージとしてモデルになっているのが、ドイツの政治教育におけるガイドラインである「ボイテルスバッハ・コンセンサス」です。
生徒みずからの判断を尊重することや、複数の立場がある話題の取り扱い方、目的は生徒の政治的成熟にあることがガイドラインによって示されています。

ボイテルスバッハ・コンセンサス(中立原則)
1976年にドイツの政治教育研究者が発表した、政治教育の基本原則:

1.圧倒の禁止の原則:教員は、期待される見解をもって生徒を圧倒し、生徒自らの判断の獲得を妨げることがあってはならない。
2.論争性の原則:学問と政治の世界において論争がある事柄は、授業においても議論があるものとして扱う。
3.生徒志向の原則:生徒は、自らの利害関心に基づいて政治的状況を分析し、政治参加の方法と手段を追求できるようにならなければならない。

政治教育は「ルールメイキング」と厳密には異なりますが、異なる立場の他者の意見を尊重したり、立場を明確にした上で自分の意見を表明したりするという点においては共通しています。

こうしたガイドラインがあることにより、ドイツでは、学校の先生が政治教育を行う際に、みずからの教え方をチェックする指針として浸透しているといわれています。
また、ドイツではこのボイテルスバッハ・コンセンサスのもと、政治教育を推進するための支援体制が丁寧に整備されていることも報告されています。

 ”ドイツでは、ボイテルスバッハ・コンセンサス(中立原則)の下、「連邦政治教育センター」において(政治教育の副教材の開発や、開発した教材について超党派の議員で構成される委員会等による監督を受けることなどの取り組みや、政治に関する情報分析とその普及、政治教育活動、各地の政治的教育機関(NPO等)の支援を行っている”
(主権者教育推進会議「今後の主権者教育の推進に向けて」令和3年3月31日)

 ガイドラインや大切にしたい理念の浸透により、ひとりひとりが実践を行う際に心がけるだけではなく、社会の仕組みとして反映されていくことが望まれます。

「みんなのルールメイキング宣言」公開トークセッションも残すところあと1回!

「みんなのルールメイキング委員会」でも、校則見直しにおいて大切にする指針となる「みんなのルールメイキング宣言」の作成を進めています。この宣言は、国や自治体に対する提言文ではなく、ルールメイキングに関わるすべての人(生徒・教員・保護者・地域住民など)を名宛人として策定する宣言です。

みんなのルールメイキング宣言
全国で校則見直しに取り組む学校が増えているなか、わたしたち「みんなのルールメイキング」プロジェクトでは対話を通して校則・ルールの見直しを実施することを大切にしています。生徒・先生が活動中にいつでも立ち帰ることのできる大切な指針となるのが「ルールメイキング宣言」です。

 これまでに5回の公開トークセッションを重ねがら、今まさに校則・ルール見直しに取り組んでいる学校の生徒・先生の声や、サポーター・中高生メンバーの言葉を集めてきました。そんなトークセッションも残すところあと1回です。お見逃しなくご覧ください!

「みんなのルールメイキング宣言公開トークセッション」第6回

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お申し込みはこちらから! https://peatix.com/event/3022884/view(イベント終了)
配信はこちらからご覧になれます:https://www.youtube.com/watch?v=IQ8gLEHAvvM

ルールメイキングの関連ホットニュース!

ユニクロ制服、大宮北高が採用検討 上下そろえて費用は3分の1に

埼玉県のさいたま市立大宮北高校が、2022年4月から制服にユニクロ製品の採用を検討していることがニュースになりました。現在の制服も併用するため、ユニクロ製品の着用するかどうかは家庭が選ぶことになりますが、ユニクロ製品を選択した場合、制服の購入にかかる費用は約3分の1の価格になるといいます。

9月下旬に中学3年生と保護者を対象とした学校説明会が開かれ、そこで導入を検討する製品が披露されたそうです。説明を受けた生徒や保護者からは、「コーディネートを考えるのが楽しみ」、「周りが何を選ぶのかが気になる」と様々な意見が出たとのことです。

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ユニクロ製品を公式に取り入れている学校の事例は、現在では三重県内の公立中学校で準制服として同社製品が採用されている1つのみだそうですが、今後こういった例が広がれば、制服選択の新しい当たり前になる日が来るかもしれません。
現在ルールメイキングに取り組んでいる学校でも、制服の改訂や一部自由化をテーマにしている学校が多くあります。そういった学校にも、よりよい制服とは?を考えるきっかけをくれるニュースです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/62452081607398e1901a794e2748f8c2fca67327
※申し訳ございません、都合によりリンク切れが発生しました。

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